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〈帰国子女体験記:鈴木萌さん〉その2:アメリカの小学校生活~ESLクラス編

カンザスではRosehill Elementary School(ローズヒル小学校)6年生に転入しました。6年生は3クラスあり、私はMrs. Smith’s Classでした。その他、午後はESLクラスで英語を Mrs. Bibleに英語を教えてもらっていました。

ESLクラスでは日本の英会話教室のような感じで生活に必要な単語や表現方法を学びました。絵札を見ながらHe is walking. She is a teacher. などやったり、衝撃的だったのは、Mrs.Bibleが腰をフリフリ”Peanut butter, peanut butter, jelly, jelly.”と歌いながらサンドイッチを作ってくれたことです。歌いながら食パンにピーナッツバターとブルーベリージャムを塗って、合わせて食べる。子供ながらに「えー??!なにこれ!おいしいの??!」と思いましたが、これが絶品で、今でもピーナッツバターを見るとMrs.Bibleを思い出します。

ESLクラスで特に私の英語力が格段に上がったのが、フォニックスクラスです。また別の専任の先生の教室に行って、今でいう「Phonicsフォニックス」(記憶では当時フォニックスという言葉を聞いたことはありませんでした)だけを学ぶクラスでした。

アルファベット文字にはそれぞれ対応した音があり、それぞれの音の口の動かし方があるということを習ったのです。 fとvは上の歯で唇を噛んで息を出す、子供ながらに「日本語と全然ちがうな」と思いました。

Bible先生が、「モユル、日本の人たちにはWサウンドがむずかしいみたいなの。Watch this.」と言って口元をすぼめるWの発音の仕方を教えてもらいました。 余談ですが、Mrs. Smithの通常クラスのスペリング科目はそれまでどんなに宿題を頑張ってやっていっても0点や5点などばかりでしたが、フォニックスを勉強してからは音と文字を対応させることができるようになったのでめきめきスペリングが得意になり、ついに100点を取るまでになれました!

フォニックスを学んでからは、知らない単語でも読めるようになるので、わからないなりにだんだんまわりの英語に興味が湧いてきました。また、「音を綴る」ことで聞き取って書くこともできるようになっていったのです。

それまで学校で繰り返しきいてわからなかった単語などをカタカナでメモして父に聞いていたのですが、アルファベットの方がカタカナよりも楽に英語表現できるな!と変化していきました。

現在私は小学生の子供たちにフォニックスソングを使った英語のレッスンをしています。私の将来の仕事にまで役に立つとはこのときは思いもしませんでした。 日本の小学校でも英語が科目として加わるわけですが、ぜひ、日本語とは全く違う、口の動かし方で発声・発音し、文字と音の関係を学ぶフォニックスを取り入れてほしいです。

95年は、日本の公立小学校に生徒用のコンピュータはなかった時代ですが、ローズヒル小学校には教材として各クラス10台ずつ導入されていました。りんごのマークのアップルコンピュータでスペリングゲームや、The Oregon Trailという開拓時代の歴史を学ぶゲームRPGで遊ぶことができ、英語を読んで理解し、ゲームを進めながら英語力をつけました。

カンザス州はアメリカ地図に対角線を引いたちょうどど真ん中の州で、白人が多い地域で「竜巻の多い、オズの魔法使いの、アメリカの田舎」でした。そんなのどかな田舎にあるローズヒル小学校は公立の小学校でしたが、他にも多くの国からの子供たちがいました。

中国、韓国、マレーシア、ベトナム、パキスタン、ロシア、ウクライナ、メキシコ、イラン、リビア、プエルトリコ、、本当にさまざまな国からいろんな事情でここにいるんだなあ、岩手に住んでいた時には外国人は2人くらいしかあったことがなかったのに、アメリカはこんなに外国人がいるんだなあと思ったものです。どの国の子供たちにも先生たちはとても優しく接してくれていました。



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