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「自立力」が求められる子供たちの未来

20年前に「コンピューターが手のひらサイズになる」と予測され、スマートフォンの普及で現実になりました。今後10年間で「人工知能が人間を代行する」と予測されています。

米デューク大学のキャッシー・デビッドソン教授が「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」との研究発表をして世界中で大きな波紋を呼びました。

デビッドソン教授の予測を受けて元文部科学大臣・教育再生担当大臣(平成26~27 年)の下村博文衆議院議員は、著書「教育投資が日本を変える」(平成28年5月PHP研究所発行)の中で次のように日本の教育に危機感を表しています。


日本にとってはこの予測は 楽観的すぎる、というのが率直な感想である。日本では65%の職業が失われたとしても、 それに代わる新しい職業がアメリカのように生まれるかというと、私は大いに疑問である 。なぜなら、近代工業化社会から情報化社会へと転換したにもかかわらず、日本の教育はそれに対応できていないからである。

「人工知能によるライフスタイルの変革」は、私たちの価値観に劇的な多様化をもたらします。就労環境で例えれば、今ある多くの仕事が無くなり、残った仕事も激変し全く新しいジョブスキルが求められるなど既存の価値観では想像できない状況が待ち受けています 。

この変革に備えて動き始めたのが教育界です。現行の知識の詰め込みとテストの採点を基準にした画一的な受験制度から今後は「思考力・判断力・表現力」及び「主体性・多様性 ・協調性」を重視する多面的な受験制度が実施されます。

2020年までには「高大接続改革」 の下、大学受験が採点方式から選別方式に移行します。言い換えれば人間としての総合力 が試される新しい評価制度の中で、子供たちは自分で考え、判断し、実行する「自立力」 が求められます。

中等教育では文部科学省が推進するスーパーグローバルハイスクールや国際バカロレアスクールなどの施策が実施され、教室ではアクティブラーニングやプロジェクトベーストラーニングが実践されて生徒の「自立力」を高める学習環境作りが拡がっています。

将来の不確実な時代に日本国が成功するには、国民一人ひとりが「自立力」を高める必要があるとの考えから、親世代が経験した画一的な学校教育から多様な学び方に変革する過渡期に 子供たちは活きています。 家族、生活、価値観、学習、そして学力の多様化などから、画 一的な日本の学校に馴染まない子供たちが増えています。2017年には小中高不登校生徒数 が20万人を超えていると言われています。

今後10年間は学校教育の変革期と踏まえ保護者は、自身の経験、先生や塾講師の意見を鵜 呑みにせず、わが子の資質を見極めて多様な学び方を選択する必要があります。 重要なのはわが子の資質に合った多様な学びの環境を選ぶと共に「18歳の自立」を目指す子育てをご家庭で実践することが「成功する子供」への道に繋がります。
渡辺克彦 東京インターハイスクール 学院長

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